最近はサッカーのチャンピオンズリーグの結果を楽しみにしているのですが、今年こそ勝ち上がって来るかと思われたパリ・サンジェルマン(PSG)がマンチェスターUに負けてしまいました。
W杯で話題となったフランス代表のムバッペ選手や現在は負傷離脱しているブラジル代表のネイマールが所属するチームです。
準々決勝まで進めば、ネイマールが復帰できる可能性があっただけに残念です。
そのネイマールが3月末から4月初旬には復帰できるかもしれないという記事が出ていました。
ネイマールは昨年の2月にも同じ右足の第5中足骨を骨折して離脱しています。この時は手術をして、なんとかW杯に間に合わせる事が出来ました。
しかし今年の1月にまた同じ箇所を骨折。
このネイマールを何度も苦しめている第5中足骨の骨折を通称ジョーンズ骨折と言います。
ジョーンズ骨折とは
ジョーンズ骨折とは第5中足骨近位の骨折や疲労骨折の事を指しています。正確には折れる場所が少し違うのですが、一般の方や現場レベルでは正確に判断できないので説明は割愛します。
詳しい病態はよせやん先生の記事をご覧ください。
ジョーンズ骨折には安静にしていれば治癒するタイプと骨内にボルトを入れる手術が必要となるタイプがあります。(Torg分類、Torg J.S , et al. : J Bone Joint Surg Am, 66 (2), pp.209-214.1984.)
普通の骨折であれば安静にすれば治癒しますが、第5中足骨は血行などの問題で治癒しにくいため、重症であれば手術が第一選択肢になります。
多くのサッカー選手がこの骨折に悩まされており、残念ながら欧州と比べて日本は多いとも言われています。
そして一度骨折してしまうと、再骨折のリスクを常に抱えながらスポーツをし続けなければならなくなります。
香川 真司選手 (2011年ドルトムント在籍時)
小野 伸二選手 (2005年W杯予選前)
清武 弘嗣選手 (2015年ハノーファー在籍時)
玉田 圭司選手 (2007年名古屋グランパス在籍時)
長期離脱を防ぐ早期発見
ジョーンズ骨折はプレーから離脱する前から、足の外側に多少の痛みを感じている選手も多いです。
しかし動けるレベルの痛みのため、痛みを我慢しながら練習を続けてしまう選手が多くいます。
重症化してしまうと手術適応となり、長期離脱を余儀なくされます。
軽傷であれば練習を続けながらでも治癒する事ができる可能性もあるため、早期発見が非常に大切になってきます。
私がサポートしている大学サッカー部では、先日同愛記念病院の立石先生のグループに来ていただき、エコー等を使った ジョーンズ骨折検診を行なって頂きました。
100人受けて2名程度は疑いのある選手が出ると言われており、今回の検診でも数名がチェックに引っかかりました。
ジョーンズ骨折を早く見るけるための方法としては以下の2つです。
- 第5中足骨の圧痛セルフチェック(足の外側、飛び出た骨のすぐ小指側周辺)
- 痛みを感じた際の整形外科受診
予防策
軽い痛みを感じた事がある人はもちろんですが、まだ感じた事が無い人も今後起きうる可能性があります。
また骨折は第5中足骨だけではなく他の第3や第4にも起きる可能性があります。疲労骨折は対策をする事で、リスクを下げる事が可能です。
- ランニング等はスパイクではなく、ランニングシューズを使用する
- スパイクの種類を変える
- インソール(中敷き)を変える
- 足の外側荷重にならないようにトレーニングする(柔軟性、筋力 etc)
- 股関節の柔軟性を改善する
まとめ
ジョーンズ骨折は1度経験してしまうと、スポーツ中は再受傷のリスクが常に付きまといます。
手術となると3ヶ月は競技から離れなければなりません。
セルフチェックと予防対策をしっかりと行い、気になったら直ぐに受診する事で少しでも軽傷のうちに骨折を発見しましょう。
早期に発見する事で、手術せずに動きながら治癒を目指す事も可能です。